カテゴリ
手前味噌リンク
最新の記事
以前の記事
2022年 09月 2021年 01月 2020年 12月 2019年 02月 2018年 11月 2018年 10月 2015年 01月 2014年 01月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 01月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 01月 2011年 08月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 01月 2010年 10月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 07月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 03月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 検索
タグ
その他のジャンル
|
この『似顔絵リレー小説』は、実在の人物の名を借りたフィクションです。スタートはこちらから。
そこには、ワールドカップの代表メンバーから落選したばかりの久保の姿があった。顔には憔悴の色が濃い。 「オークボ!」 ジーコが叫んだ。 「大久保じゃない、久保だ!」 「ワカッテルヨ、ソンナコト。汚イ髭ヲ生ヤシテルノガ久保、最近見カケナイノガ大久保ダベ。サッキ言ッタ『オークボ!』ノ『オー』ハ感嘆ノ『オー』ヨ。『オー!』トカ『アァ!』トカ『マァ!』トカ『ウオッ!』トカ『アラ!』トカイウノハミンナ感嘆詞、或イハ感動詞トモ言ウネ。覚エテオキナサイ。ソウカ、『オー』ノ後ニ感嘆符ヲ付ケナカッタノガイケナイネ。ソレデハ、モウイチド。オー!クボ!」 「感嘆符が付いてるかどうかなんて、わかんねえよ。それになんで日本人の俺がブラジル人に日本語の講釈を受けなきゃなんねえんだよ」 「ダッテ、チャント茨城デ習ッタダヨ。チナミニ、『イバラギ』ジャナイヨ、『イバラキ』ダカラネ。ミンナ間違エルンダカラ、気ヲツケテチョ」 自分が『ジッコ』でなく『ジーコ』と呼ばれることはもはや仕方がないと思っているが、茨木を『イバラギ』と間違われることだけは許せないジーコである。 「デ、ナンカ用?」 ジーコはとぼけた顔で尋ねた。 久保はこめかみに血管を浮き上がらせ、絞り出すような声で、 「なんで〜、なんで〜」 と言った。それは地の底からわき出る亡者の呻きのようであった。 「ナンデ?」 ジーコは困惑の表情を浮かべた。 「久保ノ気持チハ分カル。シカシ私ノ立場モワカッテホシイ。今、ココデ説明シテイルワケニハイカナイ。私ニハ時間ガ無イノダ」 久保はハッとした。ジーコは監督として、日本チームを勝たせなければならない。落選した自分のために時間を割いている暇などないのだ。既に戦いは始まっているのである。チームのみんなのことを考えれば、自分がここで我がままを言っていていいはずがない。 「ジッコ…」 気がつけば、ジーコの姿は既になかった。 「ワルイネ、クボ!」 店の外からジーコが手を振っている。 「早ク戻ラナイト、セッカク温メタ“カルビ焼キ肉弁当”ガ冷メチャウカラ」 「……!!」 その時、店にいた人々は久保の頭から蒸気が立ち上るのを確かに見たという。 「てめえ、待ちやがれ!」 久保は店を飛びだすと、凄まじい勢いでジーコを追い始めた。 「アッ!マズイヨ。コノ場合ノ『アッ!』モ感嘆詞ネ」 ジーコは必死に逃げた。まるで現役時代を思い起こさせるスピードである。 「くそう、どこへ行きやがった」 数百メートルも走っただろうか。久保はとうとうジーコの姿を見失ってしまった。 「ここはどこだ?」 そこは大きな神社の境内のようである。 「湯島天神…」 学問の神様として有名な菅原道真公を祀った神社だ。合格祈願のための絵馬が数えきれないほどぶら下がっている。 「あれ?あの人は…」 なんとなく見覚えのある後ろ姿の男性が、なにやら熱心にお参りをしていた。
by onikobu
| 2006-05-18 02:38
| 今日の人
|
ファン申請 |
||