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この『似顔絵リレー小説』は、実在の人物の名を借りたフィクションです。スタートはこちらから。前回分はこちら。
「やあ、ただいま。と言っても、僕はこのメイド喫茶は初めてだけどね」 川淵がそう言うと、メイド服を着たウェイトレスが大仰に驚いた顔を作った。 「あら、いやですわ、ご主人様ったら。ここはご主人様のお屋敷じゃありませんか。このミカポンをお忘れなんですか。まさか、アルツハイマーじゃ…」 「嫌なことを言わないでくれ。そんなこと言われたら萌えないよ」 「まあ、それはそれとして…」 「なんだ、あっさりしてんなあ」 「萌え耳はどれになさいますか?」 「萌え耳?なんだいそれ」 「猫耳とかウサ耳とか、ご主人様のお好きな付け耳を、私、ミカポンが付けるサービスです」 「じゃあとりあえず、猫耳にしてみようか」 「かしこまりました」 ミカポンは猫耳を頭にセットした。 「それではご主人様、お食事になさいますか、お茶になさいますか、ニャー!」 「うわ、なんだそれ、猫ひろしかよ。そんなんじゃ萌えないよ。他にはどんなのがあるんだい?」 「定番のウサ耳なんてどうでしょう、ピョン!」 「ウサ耳じゃあ、バニーガールだもんな。ありきたりか。他には?」 「ウシ耳なんて変わってますよ、モー!」 「牛じゃ、モーえないなあ」 「あらお上手ですご主人様、パチパチパチ」 「オヤジギャグを無理にウケてくれなくてもいいよ。他には」 「象耳、パオー!」 「でかすぎて可愛げがないなあ。もうないの?」 「表メニューはこれだけですが」 「なに?ってことは裏メニューがあるってことか」 川淵の目がキラリと輝いた。 「特別な方にだけのサービスです」 「で、なに耳なんだい?」 「少々お待ち下さい。多少取り付けるのに手間がかかりますので」 ミカポンは店の奥へと消えて行った。 「ははあ、手間がかかるから裏メニューにしてあるのか」 しばらくして、ミカポンが再び現れた。 「あれ?」 ミカポンの頭には何も付いていない。一瞬、なんの変化もないのかと思ったが、川淵はすぐにそれに気付いた。 「お待たせいたしました、ご主人様」 「うわ、なんだその耳たぶ!福耳?」 「はい、めでたいです、カランカラン!」 「カランカランって、なんだい?」 「福引きの1等賞が当たったイメージです、カランカラン!」 「……」 川淵は憮然とした表情である。 「どうなさいましたか、ご主人様、カランカラン!」 「萌えないよ、そんな耳たぶじゃ」 「あら、せっかくの裏メニューですのに、残念!」 「ギター侍だってもう流行らないし」 「でも、福耳が好きっていうお客さんもいらっしゃいますよ。ほら、今日もあそこに」 ミカポンの指さす方向に、大きな体から蒸気を立ち上らせている男の姿があった。福耳を付けたウェイトレスと楽しそうに話している。 「誰だい?あれ」 「たかみーです」 「えっ!アルフィーの?高見沢?太ったなあ、おい」 「なわけないじゃないですか、お相撲さんの高見盛関です」 「やあ、高見盛関」 川淵は声を掛けた。振り返った高見盛はひどく慌てた様子で、冷や汗を流しながら、 「あっ、キャキャキャ、キャプテン!?」 と声を上ずらせた。 「今は本場所中じゃないか。こんなところにいていいの?」 「あああ、あ、あの、いいんっす、いいんっす、ちょっと用事があったもんスから」 「どんな用事だい?」 「いや〜、そ、そ、それは、ちょっと恥ずかしくて、言えないっスよ〜」 高見盛は、だらしのない笑顔で言った。それを見た川淵がにわかに恐い表情を作った。 「言いなさい」 「あっ、はっ、うっ、あっ、はい、言います。時東ぁみちゃんの握手会があって〜」 「誰だい?それ」 「あ〜、え〜とですね〜、メガネっ娘萌え〜っていう、それはそれはくぁわいい〜、アイドルです、はい。こないだ、番組で会わせて頂いてですね〜、相撲も応援に来てもらってですねえ〜」 高見盛は大きな手ぬぐいで汗を拭いた。 「狙ってるのかい」 「ねねねねねねねねね、ね、狙ってるだなんて、そんな〜」 「第二の若島津になろうっていうのかね。その、なんとかあみちゃんってのは、高田みずえより可愛いのかい」 「いやあ、そりゃもう」 「あ、言ってやろう。松ヶ根親方とみずえさんには面識があるんでね」 「ええ〜、そんなあ〜、うそです〜、あみちゃんは全然です〜、高田みずえさんのほうが断然可愛いですって〜」 「ガチャーン!」 その時、食器が落ちて割れるような激しい音がした。 「え?…あっ!」 音の方へ顔を向けた高見盛は、たちまち真っ青になった。
by onikobu
| 2006-05-20 05:55
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