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いつもの帰り道、一軒の床屋のオヤジさんをよく見かける。
タバコ屋を兼ねた店なので、自販機の補充のためによく外へ出ている。 確証はないが、普通に考えて彼が床屋の主人だろう。 お客さんをオシャレに仕上げるのが彼の仕事のはずなんだが、ありゃすげえ。 当の御本人があんな髪形してるんじゃ、おそろしくて身を任せる気にゃならん。 世の中には色んな髪形があるけれど、あのオリジナリティは唯一無二かもしれない。 他ではあんなの見たことない。 昔、竹村健一が一九分けと言われたが、このオヤジさんも比率で言えば一九分けだ。 ただし、竹村健一が横分けの一九だったのに対して、このオヤジさんの場合は縦分けの一九だ。 分け目は後頭部の下のほうにある。 後頭部からグイ〜ンと持ち上げられた髪は、きれいに前頭部までやって来て、なぜか前髪と同化している。 前から見れば、ややリーゼント気味に突き出しながら、オールバック風にセットされた髪形だから、つまりこの髪形の大部分には端がない。 額から伸びた髪は、頭頂部を通り、後頭部の分け目の部分で再び頭皮へ戻る。 なぜかループしているのだ。 ありえない。 と思うまでもなく、前髪付近は明らかにカツラ。 なんたって、生え際の産毛技術が皆無であるからすぐわかる。 というわけで、後頭部の分け目から頭頂部へ向かった地毛は、前頭部のカツラへ吸収合併されているらしい。 どうせかぶっちゃってるなら、普通に無難な髪形仕上げにしておけばいいものを、どうしてあんな変なところへ分け目を持ってくるのか。 きっと地毛を活用したいんだろうな。 純粋に地毛だけで分け目を作れるのがあそこしかなかったということなんだろう。 オヤジさんの意地だ。 薄毛床屋としてのアーティスティックな意地なのだな。 すごいぞ、オヤジさん! でも、あそこで髪を切ってもらう勇気はない。
by onikobu
| 2007-04-05 23:08
| 絵雑記
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